エンガディン(Engadin)
ラインバレーから上流へ。週末に足をのばす、サンモリッツのリゾートステイ
エンガディン(Engadin)は、スイス東部グラウビュンデン州にある、インの谷に沿った高原のリゾート地域です。サンモリッツ(St. Moritz)で知られる上エンガディンは、ラインバレーからさらに上流へ、山を越えた先にあります。リヒテンシュタインやラインバレーの旅に、週末などを使って足をのばすのにおすすめの行き先です。
おすすめのポイント:2泊すると、乗り物が滞在中無料に
今回の滞在でいちばんお得だったのが、2泊すると、ホテルから、この地区の鉄道・バス・ロープウェイなどが滞在中無料になるパスがもらえたことです。湖のまわりや山の上へ、乗り物を気にせず自由に出かけられます。
ホテルでは、紙のチケットを渡してもらえます。紙のチケットは、「鉄道・バス」用の「OV-Inclusive」と、「ロープウェイ」用の「Bergbahn inklusive」の2枚でした。どちらも宿泊者は無料です。たとえば、ディアボレッツァのロープウェイは往復で46フランかかるので、このパスがいかに役に立つかがわかります。

この紙のチケットは、このまま使うこともできますが、ロープウェイのチケット売り場で、プラスチックのカードと交換してもらえます。このカードにすると、デポジットが10フラン(CHF 10)必要ですが、日程の最後の場所のチケット売り場でカードを返すと、返金してもらえます。カードは「ENGADIN CARD」で、「3 Tage Bergbahn inklusive」という印字と、有効期間、「inkl. Bus / RhB 2. Klasse」(バス・レーティッシュ鉄道の2等も含む)という印字がありました。

- 宿泊は2泊以上が目安です。1泊では対象外になる場合があります。
- パスを出してくれるのは、制度に参加しているホテルです。予約のときに、パスの有無を確認しておきましょう。
- 対象になる乗り物や期間は、ホテルや季節によって変わります。公式サイトによると、山岳鉄道が無料になる「Mountain railways included」は、主に夏から秋のシーズンの制度です。
対象や条件は変わることがあるため、エンガディン観光局の公式ページで最新情報をご確認ください。
⚠️ 10月後半以降の秋は、スキーシーズンの手前で、多くのロープウェイやケーブルカーが運行休止になります。10月31日に訪れたときは、ムォタス・ムラール(Muottas Muragl)とディアボレッツァ(Diavolezza)くらいしか運行していませんでした。山の上へ行く予定がある場合は、出かける前に各路線の運行状況を公式サイトで確認しましょう。
サンモリッツの景色
サンモリッツの中心は、湖のほとりにあります。秋には、黄色く色づいた木々やカラマツの紅葉と、雪をかぶった山々を一度に楽しめます。


サンモリッツは、湖畔を歩くのもおすすめです。湖畔にはウォーキングコースがあり、道沿いにはベンチも並んでいます。湖のまわりには散歩道が続いていて、木の橋を渡ったり、水辺のカモを眺めたりしながら、のんびり歩けます。夕暮れには、空と湖面が染まる美しい景色に出会えます。



湖畔には、アルブラ線・ベルニナ線を紹介するユネスコ世界遺産の赤い案内板が立っています。レーティッシュ鉄道のこの区間は、世界遺産に登録されています。


サンモリッツ・クルムの近くには、あのピサの斜塔よりも傾いている教会の塔があります。名前は「Schiefer Turm(シーファー・トゥルム)」といい、ドイツ語で「傾いた塔」という意味です。壁面には大きな時計が描かれていて、ホテルへの案内板も立っています。町を歩くときの目印にもなります。

ディアボレッツァ(Diavolezza)
サンモリッツから、ベルニナ線の車窓や道路沿いに、黄金色のカラマツと雪をかぶった山を眺めながら向かいます。10月31日に運行していた山の上の路線のひとつが、ディアボレッツァ(Diavolezza)です。ディアボレッツァという名前は、「小悪魔」という意味だそうです。


レーティッシュ鉄道ベルニナ線の「ベルニナ・ディアボレッツァ(Bernina Diavolezza)」の標識が立つ場所です。背後の山の上には、ロープウェイが見えます。

駅舎の壁には、日本語で書かれた木製の銘板があります。「世界遺産 レーティッシュ鉄道アルブラ線/ベルニナ線と周辺の景観」と書かれていて、2019年の姉妹鉄道提携40周年を記念して、箱根登山鉄道が寄贈したものです。遠いスイスの山の中で日本語を見つけると、うれしくなります。


駅には、2027年3月20日(土)に開かれる「ディアボレッツァ氷河レース(Diavolezza Glacier Race)」のポスターも貼られていました。氷河の上で行う市民スキー大会(Volksskirennen auf Gletschern)の案内です。冬のシーズンには、スキーの行事でにぎわう場所のようです。

ロープウェイで上がると、目の前に雪をかぶった山々と、ひび割れのある大きな氷河がひろがります。青空のもとで、見ごたえのある景色です。

展望台には、赤い文字で「Diavolezza 2978」(標高2978m)と書かれたモニュメントがあり、記念撮影のスポットになっています。

10月末でも、スキーができます。山上のレストランのテラスでは、スキーヤーたちが日差しのもとで休んでいました。ゲレンデにはスキー板やストックが立てかけられています。

雪の上には、誰かが作った小さな雪像が2体、並んで立っていました。

ムォタス・ムラール(Muottas Muragl)
10月31日に運行していたもうひとつの山の上の路線が、ムォタス・ムラール(Muottas Muragl)です。ケーブルカーで手頃に行けるので、気軽に山の上の景色を楽しめます。料金は往復で42.5フランです。


ケーブルカーからの景色は絶景です。黄葉したカラマツと、雪をかぶった山々、谷間の村を見下ろせます。

山の上には、ホテルとレストラン、そして眺めのよいテラスがあります。目の前には、湖が連なるエンガディン谷と、遠くの山々がひろがります。


上には、散策できる道があり、子どもの遊び場もあるので、家族連れでも楽しめます。草原には石造りの小屋があり、のんびりした雰囲気です。




夏には、マーモットが見られ、鳴き声もよく聞こえるそうです。さらに、シュタインボック(アルプスアイベックス)も見られるそうです。マーモットとシュタインボックは、スイスやリヒテンシュタインで見られる有名な野生動物です。リヒテンシュタインのマルブン(Malbun)でも、マーモットがよく見られます。

サメダン(Samedan)

駅とバスターミナル
サンモリッツ駅のまわりは、鉄道とバスの拠点になっています。駅前のバスターミナルには、時計塔の建物があり、エンガディン各地へ向かうバスが発着します。ホームからは、ベルニナ線でイタリアのティラーノへ向かう列車も出ています。


ラインバレーからの行き方
- 電車:サルガンスから、ランドクアルト(Landquart)で乗り換えて行けます。ランドクアルトから先はレーティッシュ鉄道(RhB)に乗ります。
- 所要時間は約2時間です。昼間に乗れば、きれいな景色を楽しめます。
- 途中でKlosters(クロスタース)のトンネル(ヴェライナ・トンネル)を抜けるので、峠越えがなく、車で行くよりも楽です。
- 山を越えるアルブラ線で行く方法もあります。らせん状のトンネルや高い橋が続く景色で知られる路線です。
- チューリッヒからサンモリッツまでは、電車で約3時間です。
- 天窓のある車両もあり、山の景色を車内から見上げて楽しめます。



滞在のヒント
- 金曜の夜に着いて、日曜に戻る週末2泊が、パスの条件にも合って、お得です。
- 駅から宿までの移動や、湖のまわり、山の展望台へのロープウェイなど、パスで乗れる範囲を、チェックインのときに確認しましょう。
- プラスチックカードに交換するとデポジット(CHF 10)が必要です。日程の最後の場所のチケット売り場で返すのを忘れずに。
- 10月後半以降は、多くのロープウェイやケーブルカーが運行休止です。山の上へ行く予定は、運行状況を確認してから立てましょう。
- 秋は朝晩に冷え込みます。暖かい上着を持っていきましょう。
出典:エンガディン観光局「Mountain railways included」、St. Moritz「Arrival」